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06_スタジオジブリの空間演出とランドスケープデザイン

スタジオジブリの空間演出

空間に緩急をつける
  空間を広げたり狭めたりすることでその場の空気や雰囲気を変える。

見せるところ、見せないところをはっきりさせる。
  登場させる景色を大きく見せるため意識的に視線を止める。

個性あるものを使う
  他にはないもの、独特なもの、歴史あるものを使用している。

スタジオジブリの空間演出において評価の高いことは”個性”だろう。
しかしそれは斬新で奇抜な新しいものではなくて、今は使われなくなったものや歴史を感じさせるものだったりする。例えば”となりのトトロ”では新しいものは1つも使われていなかったわけで手漕ぎポンプの井戸にしても電話にしても昔は誰でも使っているものだった。
そういった物理的なものにおいては特に調和を考えた演出をしている。

”個性”と”調和”

これらはおたがいまったく違った意味を持っているように思えるが、ランドスケープデザインにおいてどちらもとても大切なものである。
“個性”はその場が持っている資源やそれぞれのデザインのことを指し、”調和”は周辺環境や人々とのふれあいのことを指すことができる。

景色を見せ、ドキドキさせる。

スタジオジブリの作品が最も意識しているのはこういうことであろう。
感性を刺激し、何かを考えさせるということ
「楽しい!」や「怖い!」といった感情を与えること
「いい眺め!」や「ステキ!!」のように五感を震えさせること
また、「この場を創った人はどのような考えでここを創ったの?」と疑問を持たせること。

景色や場はファッションや建築のように”かっこいい”や”かわいい”といった言い方ではくくることができないが、見た目の印象だけでなく気持ちを動かし、ココロに訴えかけてくる精神的な側面も持っている。
景色は見た目の印象だけでなく気持ちを動かし、ココロに訴えかけてくる精神的な側面も持っているもの。また良い景色(こういう言い方は良くないと思うが)というのは様々なところに存在し、見る人のココロの持ち様によってはどんな景色も良く見えることがあるはずである。
つまり全ての景色が良い景色になり得る。

スタジオジブリの空間演出から考えるランドスケープデザイン

作品1つ1つにキャッチコピーが付けられているようにスタジオジブリの作品には強いメッセージ性がある。
それと同じようにランドスケープデザインでも場を創造するときにその場に意味を持たせることが重要なことになってくる。しかしそれは強引に付けるものではなくてその場から拾えたり引き出せるもの。

ランドスケープデザインとしては良い景色をつくることはもちろんだが印象に残る景色をつくることが重要になってくる。印象に残る景色には意味するものや考えさせられるなにかが含まれているはずである。場に訪れたときに、何も考えない、感じないようであれば人の興味を引くこともなく、「またここに来よう」という気にもならない。場のデザインをすることは場に命を吹き込むということと言える。

今見るとなかなか目を当てられないまとめになってますが、学生時代の考えと実務経験を経てからの自分としては、
ランドスケープデザインは「関係性のデザイン」と思うようになりました。

デザインは人の意志である以上、個性や独自性が必ず入ってくるものですが、いかにそれらを周りと馴染ませるかが重要で、若い頃と比べていくらかそこに重点を置けるようになってきたかと思います。
とはいえ、それを伝えるのがやはり大変です。

また、自然や地形・植物などを扱うので、人の意志と相反するところもあって、それらの関係性づくりに頭を悩まされます。
その点はお百姓さんの環境づくりというのがよく意識させられます。

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